第2回 知的障がい者の明日を考える議員連盟・第3回 知的障がい者の明日を考える会

-現場の問題を現場目線で解決するために-

平成30年12月、第2回勉強会の決議を受け、顧問・高村正彦氏、会長・木村義雄議員、事務局長・三原じゅん子議員をはじめ自民党国会議員35名により「知的障がい者の明日を考える議員連盟」が設立。平成31年2月11日には、第2回議員連盟・第3回勉強会の合同会議が開催された(出席者136名)。

トピックス

  • 厚労省、議員連盟からの事前質問に対し書面回答せず。木村義雄会長を筆頭に厚労省に対し書面回答を強く要求。
  • 夜勤職員に関する不適切な取扱いについて、厚労省が次回議連までに対応を確約。
  • 相談支援事業に関し、前2回の勉強会に引き続き、各現場から具体的な事例が出され議論深まる。厚労省に解決を要求へ。
  • 議員連盟の目的も、親亡き後の知的障がい者の「終の棲家」「所得保障」(8050問題)とされ、現場の問題を現場目線で解決するためのワーキングチーム(座長・秋元司議員)が設置された。国会議員による福祉施設への現場視察を実施することに。

議連の事前質問に厚労省が書面回答せず。木村義雄会長ら怒る。

第2回議連開催にあたり、議員連盟は厚労省に対し、過去の勉強会で挙がった福祉現場の問題点について書面による事前質問を行った(資料[PDF])。しかし、厚労省は議連からの質問に対し、書面を用意せず、口頭での回答だけで済まそうとした。

内山博之(厚労省障害保健福祉部企画課長):障害者総合支援法の知的障がい者福祉法の対象となる方々についての議論については…

木村義雄議員:ペーパーは出してくれないの?

内山博之(厚労省企画課長):出していません。

木村義雄議員:ペーパーで出してくれなきゃわからないでしょ。ただ聞いただけじゃよくわからない部分がありますよね?

木村義雄会長・厚労省に対し書面回答を求める場面

木原稔議員:(厚労省の)答えっぷりがあまりに雑で、そして中途半端でして、(出席された方々に)大変申し訳ない気持ちでいっぱいであります。

とかしきなおみ議員:厚労省も、次はちゃんと資料をそろえてですね、回答を口頭でされてしまうと分かりませんし、資料も持って帰りますので是非用意しておいていただけたらありがたい。

木村義雄議員:(出席された方が分かるような)ペーパーを出してよ。

内山博之(厚労省企画課長):はい、後ほど…。

木原稔衆議院議員

夜勤職員の不合理な取扱いに関し、次回までの解決を厚労省が確約。

渡部準也(社会福祉法人柊の郷):一つのグループホーム事業所で、(日勤帯に)月160時間働いている常勤職員が、1時間でも夜勤をしたとたんに非常勤職員になる。これは、不合理としか言わざるを得ないのかなと思っております。

平成19年12月19日付の厚労省Q&Aでは、(常勤職員であれば有給休暇や研修は勤務時間として計上するが)非常勤職員になると勤務時間に計上できないとされています。そうすると、頑張って夜勤もしてくれる職員の人材育成にも問題が生じるのではないかなと思います。

源河真規子(厚労省障害福祉課長):今のご指摘の平成19年Q&Aですが、この通り有給休暇等について不合理がある点について、Q&Aの見直しを検討させていただきたいと思います。

木村義雄議員:だから「検討」してどうするの?どういった方向で見直すのかをきちんと示さないとダメでしょ。

三原じゅん子議員:(源河課長に対し)その回答は、さっきの回答と同じ答えです。

木村義雄議員:厚労省の「検討」はやらないってことなんだからさ、「検討する」って言葉は使わない方がいいよ。

源河真規子(厚労省障害福祉課長):今の段階でどういう風にするというのは…。ご指摘いただいた点で有給休暇とか研修に不合理が生じているというご指摘でしたので…ご意見を伺いながら考えます。

木村義雄議員:だからいつまでにやるの?そのQ&Aの見直しは。

源河真規子(厚労省障害福祉課長):なるべく早く…。

木村義雄議員:年度内?

源河真規子(厚労省障害福祉課長):いえ…。

木村義雄議員:月内?年度内?どっちなの。

源河真規子(厚労省障害福祉課長):あの…、次回議連までにはご提供できるよう努力します。

木村義雄議員
源河真規子障害福祉課長

<平成31年3月29日付の事務連絡(Q&A)にて夜勤職員の問題は解決済み。>

相談支援事業における悲惨な現場の実態について

高森雄登(就労継続支援B型事業所スタジオプレアデス理事長):静岡県の焼津市と静岡市で相談支援事業をやっております高森と申します。

今の制度では、福祉サービスを受けたい方は、全員が相談支援事業所を利用することになっていますが、全くもって事業所が足りておりません。焼津市で言えば、既存の事業所は正しく受け入れできる状況ではないですし、静岡市も30程の相談支援事業所がありますが、どこも新規受け入れを停止しています。これが今の福祉の一番最初の入口で起きている状況なんです。

木村義雄議員:今でも相談支援事業所を必ず通さないといけないの?直接、施設利用とかはできないの?

内山博之(厚労省企画課長):セルフプランもありますし、必ず相談支援事業所を通さないといけないわけではありません。焼津静岡などの地域では相談支援事業所が少ないのでセルフプランに迫られているという風に聞こえました。

高森雄登:報酬が少なく、職員が長時間労働を迫られ、そして障がい者の順番待ちが大量に起きているのが現実です。

セルフプランといっても、障がい者本人はまともに書けません。だから親が書くしかない。ところが親も長時間労働していてまともに書けない。親が書いても「仕事終わりにセルフプランの内容を確認してください」という依頼を受けて、実際は職員が夜9時とかに対応しています。

高森雄登氏(就労継続支援B型事業所スタジオプレアデス理事長)

木村義雄議員:どういった方法なら(高森氏の抱える)問題を解決できるの?

高森雄登:やはり、地域によって書類が多すぎ違いすぎ、手続きも多すぎます。例えば、一人の計画を作るのに12枚程度の書類を作ることもあります。静岡市は4枚でよいのに、焼津・吉田町は12枚出さなければいけない。必要書類の作成に凄く長い時間がかかっているんです。なぜ、同じ制度なのに、地域ごとにこんなに差があるのか。

藤澤敏孝(社会福祉法人三和会理事長):今の件ですけど、現状では(大きな法人も小さい法人も相談支援事業を)負担無くやっていくことは無理ですが、大きい法人は他の事業で収益を上げて損失を補填できるので、何とか騙し騙しやっていけているんです。でも、一つの事業で経営が成り立たないシステムが正しい制度かといえば良くないわけです。

藤澤敏孝氏(社会福祉法人三和会理事長)

三原じゅん子議員:(厚労省に対し)ではこの件に関しましては、厚労省がもう一度しっかりとお答えができるようになってから、次回議連の際にお返事をしていただきましょう。

福祉現場へのAI導入の提案と鈍い厚労省の反応

大川豊(大川興業総裁):1月に渡米した際に、インテルやIBMの方々とAIについてのお話をしてきました。その中で、知的障がい者の方でも発達障がい者の方でも、画面データによって、どういった作業や行為を行っている時が一番楽しいのかとかが分かるんです。

発達障がいの子供も学校に行けなかったけれど、コーヒーの焙煎なら大好きだと、プロ並みの意識で中学生がやっていたりもします。ですので、省庁を超えてビッグデータ、AIの活用をして、障がい者の皆さんの個性に合わせたお仕事や支援をするっていう考えはございますでしょうか。

大川豊氏(大川興業総裁)

内山博之(厚労省企画課長):私自身は知見を持ち合わせていないので、それこそインテルさんとかですね、他のそういったところできっかけがあれば…

あるいは厚生労働省の研究費とかもございますので、研究できるような蓄積とかきっかけがあれば活用できるとより良い方向に向かうのかなと思います。今後そういう例があれば教えていただければと思います。

大川豊(大川興業総裁):(世界に)先駆けてやるという意識はどうでしょうか。

内山博之(厚労省企画課長):そういう研究者の方ですとか研究機関があれば…
少なくとも、私共の課できる人間がいないわけですので、そういう研究者とか研究機関が実際にいらっしゃるか、というところがポイントではないかと思います。

内山博之氏(厚労省企画課長)

藤澤敏孝(社会福祉法人三和会理事長):AIの話がでたので、私もついでに質問したいなと思いました。どこの法人でも同じだと思うんですが、ヒヤリハットを記録していると思います。でもヒヤリハットの資料は膨大になるけど、膨大過ぎて過去に遡って今度はこういう事故が起こるだろうなという検討まで実際はできないわけですよ。

この分野はAIが非常に得意とする分野だと思うんですよね。AIを積極的に活用することで事故を未然に防げればいい。障がい者が防犯カメラ無しで自室でゆっくりと遊んでいられるような環境を提供するのは大切なことだと思うんです。

足高慶宣(障がい者福祉研究所代表):ヒヤリハットとAIの話、いいご意見だと思います。この勉強会を中心にしてヒヤリハットの事例を集めてAIを活用するといった話を実際にやってみるのもありだと思います。

ワーキングチームの結成と国会議員による現場視察へ

三原じゅん子議員:この議員連盟の主題を、親亡き後に障がい者が安心して生活できる制度の構築(知的障がい者の8050問題の解決)。つまり、「恒久的な生活施設である終の棲家」と「所得保障」の制度構築と定めることのご提案を致したいと存じます。

(一同、拍手)

三原じゅん子議員:そして、現実的な諸問題を現場目線で解決するために、議員連盟の中でしっかりとしたワーキングチームを作ること、これがまずは最優先ではないかと思っております。その中で、秋元司先生に座長にしゅうにんしていただき、現実的な諸問題を現場目線で解決することを行っていただきたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。

(一同、拍手)

三原じゅん子議員:最後に、現場視察のご提案ですが、現場の諸問題を現場目線でということですので、日程調整可能な先生方がいらしましたら是非ご参加いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(一同拍手)

第2回議員連盟・第3回勉強会の意見交換等の様子

障がい者の保護者 寺嶋章郎氏
NPO法人にじと風 吉野眞里子氏

資料

議事録[PDF]

> 第2回議連・第3回勉強会合同会議 議事録

当日配布資料[PDF]

> ①式次第

> ②【第2回議連】議員連盟役員案(2月13日版)

> ③【第2回議連】事前質問事項

> ④【第2回議連】知的障がい者問題勉強会レジュメ

> ⑤入会申込書

招集通知(一般)[PDF]

> 招集通知1枚目

> 招集通知2枚目

> 招集通知3枚目


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