施設名:社会福祉法人 こころみる会
部署名:障害者支援施設 こころみ学園
都道府県:栃木県
内容:
【問題点の概要】
1. 施設内で感染者を出さないための精神的なプレッシャーとの戦い
2. 防護服の入手が不能・消毒薬やマスクの入手が困難。
3. 入所利用者のかかえるストレスへの対応
4. 短期入所者や通所利用者の受け入れに対する不安
5. 外部からの訪問者に対する不安
【具体的事例】
1.もしも自分がウイルスを持ち込んでしまったら? 障害支援区分が5や6の人たちばかり、しかも高齢者か強度行動障害を持つ人たちが利用者という入所施設で、もしも一人でも感染者がでたら、利用者も職員もほとんど感染してしまうことが予想される。そうなったらどんなにか大変か。これまでもインフルエンザやノロウィルスの感染を経験している職員は、本当にそのことを恐れている。まして治療薬がないことや、無症状だけれど感染している場合があること。潜伏期間が2日から14日とかなり長いこと。抗体ができるまで2週間以上かかっていること。さらに2週間以上経っても抗体ができない人がいることなど、やはり常勤・非常勤に関わらず職員はかなり不安を募らせている。最低でも自分が感染者にならないようにと本当にいろいろなことを我慢して、それこそ家と職場と食べるための最低限の買い物という日々を送っている。散髪や体調コントロールのためのスポーツジムや医療機関へ行くことまでも、我慢している職員もいる。さらには、自分がいくら気を付けていても家族が感染する可能性もあるわけで、そうなると職場を休まなければならなくなり、その分の負担がそうでなくても人手不足の現場に及ぶことにもなり、それも大きなプレッシャーとなっている。こうした福祉の現場で働く者として当然のことと思ってくれているからなのであろうが、ひたすら耐えて怯えて暮らす日々が続いている。このくらいなら大丈夫ではないだろうか?そんな個人個人の価値観の違いが、時には職員間のいざこざにまで発展することもある。そこへ追い打ちをかけるように最近の感染者の傾向は、感染経路がつかめずに感染が拡大するケースが続出している。果たして自分は本当に大丈夫なのだろうか?そんな心配だけでもとりのぞけるように、こうした福祉施設に働く職員は優先的に検査を受けることはできないのだろうか。
2.最近『もしも施設内で感染者が出た場合』という情報が厚生労働省から出されたが、そこに当然のように書かれている防護服は今全く手に入らない。2月にコロナウィルス騒ぎが始まった時、インフルエンザの心配もあるので熱を出した利用者の看護にあたる職員が使用した切り、在庫が無くなってしまった。注文しても入ってこない。使い捨てマスクはいつもの10倍くらいの値段で購入できてはいるものの、このままではどこまで費用がかさんでしまうか心配だ。布のマスクを職員や保護者が縫って送ってくれたりしているが、布マスクの防御性能はウイルスが蔓延したら効かないと言われている。消毒薬もしかり。今のところ手に入ってはいるがいつもの10倍の値段になっている。これも元の値段で優先的に回していただけると有難いと思う。
3.とりあえず施設内にいれば、職員が持ち込まない限り利用者の感染リスクは抑えられる。医療機関も往診で済ませてくれたり、どうしても医療機関にかからなければならない場合は、入院となるかそれほどでなければなければ車で待機しての診察となり、ほとんど不特定多数の人との接触を断つ状態が続いている。保護者の面会も遠慮してもらっている。楽しみにしていた旅行や買い物も我慢してもらった。また入所利用者の半分ほど県外からの利用者なので、夏休みに自宅へ帰って持ち込まれることが心配で、夏の帰省を見合わせることにした。このように利用者にとっても家族と会えないことや、楽しみにそれを張りにがんばってきた買い物や旅行に行けず、ストレスが溜まっていることを感じる。そんな中でも何とか職員が工夫してコンビニを呼んで移動販売をしてもらったり、マンツーマンでついて1時間ほどの外出と買い物をしてみたりと、何とか楽しみになることを設定しようと頑張っているが、買い物をマンツーマンで行うというのはとても時間も手間もかかることで、そう簡単には実現してあげられおらず、時々無断外出されてコンビニで無銭飲食をされたりということも起きている。
4.今のところ職員と同様毎朝熱を測って、その他の症状もないことを確認しながら受け入れているが、やはり家庭によっては外出制限をさせきれなかったり、ご家庭で看ていくことが困難だったりずるご家庭もあり、正直毎日ひやひやしてはいる。しかしご本人はそれがルーティーンなので受け止めてあげなければならないと思い、毎日祈るような気持ちで過ごしている。
5.外部からの人たちに対しては、往診のための医療機関の人たちか、食材や日用品を搬入する業者かに限り、毎日熱を測り体調を報告する用紙を用意して受け入れているが、都内からくるリハビリの先生や千葉からくる鍼灸治療の先生は、お断りしている状態になっている。こうしたサービスが提供できないことで、日常動作の衰えや、免疫力の低下などが心配されるが、やはり東京から?千葉から?ということで何より職員が受け入れをとても恐れている。受け入れを断らなかればならない状態がいつまで続くのか。人が行き来すればそこにリスクが伴う今回のコロナウイルスは、1日も早い特効薬ができること。もしも誰かがかかってしまっても、インフルエンザのようにしっかり防御すれば大丈夫という状態になれる日が1日も早く訪れることを願うばかりだ。