施設名:社会福祉法人 大阪福祉事業財団

部署名:豊里学園

都道府県:大阪府

内容:

○問題点の概要

1.感染を懸念する家族の負担と不安が大きかった。

2.感染対策のため移動支援事業縮小したことによる影響とそれによる収入減。

3. 令和2年5月4日付の厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課からの事務連絡「障害者支援施設における新型コロナウィルス感染症発生時の具体的な対応について」において、軽症者等については入院しない場合があり、障害者支援施設を利用する障害者についても、この考え方は同様であるとされた。施設において衛生・防護用品の確保とともにゾーニングをおこない、医師、看護師等の応援派遣など外部の医療協力機関との連携により体制を整えるように示されたが、多くは現状の施設運営上、施設で衛生防護用品を整えることと、特に医療面におけるスタッフ体制確保をおこなうことは困難である。

4. 収入減少と支出増加による財政逼迫(ショートステイの受け入れ中止)

5. 感染予防のため、帰宅・外出(通院)・外部者出入り(業者・ボランティア)等の中止

6. 利用者の不穏

7. 在宅の方、グループホームへの対応で、主たる介護者などの同居人やヘルパー、支援員が「濃厚接触者」や「感染者」であった場合、もしくは本人が「濃厚接触」となった場合の支援。

8. 入所施設(障がい者支援施設)での対応

感染者は速やかに入院できれば良いが、全員が入院できずに施設内でケアを受ける施設の報道があった。全国の障がい者支援施設では基礎疾患を持つ方をはじめ、高齢者や身体、内部障害を併せて持つ方が増加しており、若年での死亡率も高い。(令和元年度全国知的障害児者施設・事業実態調査報告書:公益財団法人日本知的障害者福祉協会)高リスク者も速やかな分離がなされていない。

9. 学校の臨時休校に伴う措置として、同じ状況の児童養護施設では日中職員体制を確保した場合の措置があるが、障害児入所施設は何の措置もない。

○具体的事例

1.高齢の母と重度の知的障害のある息子の二人暮らし。「普段でさえ調子を崩した時に入院させてもらえないのに、もし感染してしまったらどうなるのか。感染すれば、普段に増して大変な生活になる」との理由で緊急事態宣言後登所を自粛。

普段は月曜日から土曜日まで毎日登所し、作業所で入浴サービスを受けている。利用者が夜間あまり寝ないこともあり、作業所に通所している間がお母さんの休まる時間帯でもあった。3週間後、自粛は限界で登所を再開するも、母の不安は引き続きある。

⇒そもそも、障がい者の医療体制が不十分な状況にある。コロナの影響で、家族の抱える不安や実態が浮き彫りになったのでは。3週間もの間の家族の不安と負担は計り知れない。

2.感染症対策のため移動支援事業を縮小した。その背景には、利用者が外出を控えることで感染リスクを下げるのはもちろんであるが、ヘルパーの自粛も影響した。

⇒ヘルパーの平均年齢は高く、高齢の方が多いのが現状。基礎疾患を抱えている方もおられ、感染には非常に敏感であり、仕事を控える方が多くいた。

それらの理由で事業を大幅に縮小した結果、自ら余暇をうまく過ごせない利用者のストレスに繋がり、イライラから他害行為に発展しそうになった。また、外出する機会が減ったことにより運動不足となり、体重増や体力低下につながっている。

事業所としては、普段の2割ほどしか収入がなかった。

3. もし万が一、施設に感染者が発生した場合、罹患者の入院隔離および疫学調査のうえ保健所の専門的見地から、ゾーニングと利用者の治療療養や施設内の日常支援に関わる助言がなされ、衛生・防護対応のもと感染症対策推進本部のスタッフ派遣など、しかるべき指導により、感染拡大防止に努めるものと理解していた。新型コロナウィルス感染症への入院医療提供体制への対応から、このような指示となったことについて理解できるが、各医療機関の現状はいうに及ばず、行政他関係機関と協議するとしながら、公的な責任の保健所の関与を後退させ、一定、施設の諸判断に委ねるかたちとなる事に不安が生じている。

4. 施設利用者、職員以外の出入りを遮断するために、ショートスティ及び日中一時支援事業も受け入れを4月13日から中止。4月~5月の2か月間は大幅な減収見込み。

5. 感染症予防対策に必要な消毒薬、マスクなどの備品・消耗品の購入、利用者家族への緊急文書の郵送料など、予算以外の支出が増大しています。

6. 定例的な帰宅や外出が中止になり、原因はコロナだとわかっていても、帰宅ができるようになるか不安で、見通しが持てずに、精神的に不安定で他害行為に及んでしまう場面が頻発している。

7. 障害特性により自宅、自室での待機が困難であり、個別に医療管理が行えない、グループホームなど生活様式上、完全に個別の暮らしが確保しにくい状況である。このような場面では医療と支援の機能のある「個別の対応が可能な福祉避難所」的なものが必要ではないか。(神戸市、堺市で在宅の方へ一部開始されています。)

8. 同様に早期の濃厚接触者の分離と対応が速やかになされるような「初期対応でき、かつ権限のあるDWAT」のようなチームや動きが必要ではないか。また重度知的障害、強度行動障害を有する方の当施設への入所の現状から、在宅時に医療とのつながりが不足、あるいはなされておらず、いざというときの医療対応が困難な方も多い。日常的な「福祉と医療の連携」が必要。

9. 2月末より学校の臨時休校に伴って毎日、職員が必要としない日中の職員配置が必要となりました。ユニット化により必ず職員配置が必要な為、早出職員は2~3時間残り、遅出職員は2~3時間早く出勤、夜勤明けで2時間残る超過勤務が毎日続いている。

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